ドイツのリノベーションとDIY事情
date / 2020.5.26
こんにちは、裏方担当の寺田です。何年も前の話ではありますが、ドイツに住んでいたときに感じたDIY事情について少しお話します。
日本にリノベーションという選択肢が根付いて、もう10年くらいでしょうか。特に、構造の安定したマンションリノベーションが盛んですよね。
私たちナチュリエリフォーム でもマンション、一戸建て、両方のリノベーションを請け負っていますが、感じるのは、木造のリノベーションはとても大変だ、ということです。なんせ、木なので、物件選びを間違えるとそもそもリノベーションに耐える構造じゃなかった、ということがあったりします。
ドイツ、ハイデルベルクの旧市街。18世紀頃の古い街並みがそのまま残っています。
一方で、ヨーロッパは地震や火山が少なく、石造りの建物がメイン。構造に使われる素材が頑丈ですので、中だけ綺麗にリノベーションする、という方法が取りやすい。実際、17世紀の建物がいまだに現役で利用されていたりします。お城を利用したレストランやカフェ、古い公民館を利用したマンション、映画館や劇場など、もとの建物をいかした素敵なお店や家がたくさんあります。
旧市街の通り。1階はお店やレストラン、2階から上はアパートのところが多いです。
また、賃貸であっても、基本的にどんな風に改装しても怒られません。壁の色を変えても、照明を変えても、元どおりにすればOK(たいていは白いペンキでぜんぶ白塗りにして退去します)ですし、ちょっとグレードの高いものにした場合はそのままでもOKな場合もあります(自分のものなので、持って出る人も多いです)。
大学の食堂。石造りなので夏は中に入るとひんやりして心地よい。
こうした事情もあり、ドイツの人はDIYが大好きです。ホームセンターに行くと、家一軒建てられるくらいの材料が揃います。工具も、プロが使うものがそのまま売られています。それこそ、キッチンがまるごと売られていて、それを買って帰って自分で取り付けたりするのです。
実のところ、先進国であるドイツでリフォーム工事に携わる人の人件費が高いから、自分でやったほうがいい、という事情もあるにはあります。それにしても、リノベレベルのことを自分でやるなんて、と当時は思っていました。自分の家に対する自由度が高いせいか、はたまた古いものを大切にする精神なのか。何か日本とは根本的に違いそうだぞ、と感じたものです。
帰国後この会社で働き始めて、実際に日本でもリノベーションをやっている人たちがいるということを知りました。日本にも、まだまだ現役の住宅がたくさんあるのに、いつまでもスクラップアンドビルドではダメだと感じていたところだったので、これこそこれからの日本の住宅事情を豊かにする、と確信したものです。
また、リノベーション自体を自分たちで行う、セルフリノベーションも数は少ないながら行われています。ただ、電気工事の資格が必要だったりと、まだまだハードルが低いとは言えないのも事実。
自分では大変なところはぜひプロにお任せいただき(笑)、一箇所でいいので、おうちのどこかをご自分で手がけてみてください。自分の家、という愛着がわくと同時に、きっとこの家で暮らして来た前のオーナー様のことや、これからの自分たちの暮らし方のことを想像していただけると思います。
次回は、私が実際に手がけたお家の様子をご紹介できればと思います。