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中古戸建てリノベーションで後悔しないためのポイントを解説
公開日 / 2025.6.30
更新日 / 2025.8.22
中古戸建てを購入してリノベーションを施すことで、新築よりもコストを抑えながら自分好みの住まいを作り上げられます。 しかし、実際に工事に取りかかってみると、予想外の劣化や耐震基準不足、追加費用など、さまざまな問題が発覚し、後悔してしまうケースも少なくありません。 本記事では、中古戸建てのリノベーションでよくありがちな後悔のパターンや原因、工事費用の考え方や失敗を防ぐためのポイントを詳しく解説します。計画を立てる前にしっかり理解しておくことで、後々のトラブルや予算オーバーを避け、理想のリノベーションを実現しやすくなるはずです。
中古戸建てリノベーションは後悔するって本当?
中古戸建てのリノベーションに対して「後悔した」という声が目立つ一方で、「満足している」という意見もあります。ではなぜ、後悔するケースが一定数存在するのでしょうか。 一つの理由は、新築とは違って築年数や建物状態にバラつきが大きいため、予想外の問題が出やすい点にあります。構造部分の劣化や想定外の解体工事が必要になるなど、契約前に把握しきれなかったリスクが発覚すると、想定よりも多くの費用や工期がかかってしまいます。 さらに、リノベーションで実現したい間取りやデザインが、実際の構造上の制限や法律上の規定で思うようにいかない場合も少なくありません。 事前に専門家の調査や具体的なプラン作りを十分に行わずに工事に着手すると、結果的にイメージと異なる住み心地になり、後悔を招くことがあるのです。
中古戸建てリノベーションで後悔する理由

中古戸建てリノベーションにおける後悔の声には共通するパターンがいくつかあります。工事着手後に判明するトラブルや、計画時の見通し不足、コミュニケーション不足などさまざまな要因が絡み合います。 以下で、よくある後悔の事例を詳しく見ていきましょう。
基礎や構造部分が劣化していた
築年数が古い建物の場合、基礎や梁・柱などの構造部分が想像以上に傷んでいることがあります。表面をリノベーションしようにも、土台から手を入れないといけないため、補強工事や交換が必要となり費用が大幅に増える恐れがあります。
耐震基準を満たしていない家だった
建築された時期によっては、 旧耐震基準(1981年以前に建てられた家)であったり、増改築を繰り返して耐震性能が低下しているケースもあります。 耐震補強を行わないままリノベーションして住むと、地震の際に安全性を欠く結果になるかもしれません。
希望通りの間取りにできなかった
在来工法やツーバイフォーなどの構造的な理由で、壁を取り払えなかったり、階段位置を変更できなかったりと、当初のイメージ通りにリノベーションが実現しないケースがあります。大きく間取りを変えたい人ほど、事前に構造の制約を理解しておくことが大切です。
快適性に問題があった
古い窓や断熱材のままだと、冬は寒く夏は暑いなど快適性に欠ける場合があります。リノベーションの段階で断熱改修を組み込んでいなかったため、後になって「やっぱり断熱性能を上げておけばよかった」と後悔することがあります。
入居までに時間がかかった
リノベーションには解体や調整などの工程があるため、物件購入から入居まで新築以上に時間がかかることがあります。引越し日を決めていたのに間に合わず、二重家賃が発生するなどの苦労をする人もいるようです。
設備がすぐに壊れて改修費用がかかった
築年数が古い家では配管や電気系統などが経年劣化している場合があり、リノベーションを機に交換しなかった結果、入居後にトラブルが頻発して追加費用を支払う羽目になることがあります。
費用が 予定よりもかかってしまった
当初の見積もりにはなかった追加工事や、希望するグレードの設備にこだわったことで、予算オーバーに陥ることが多いです。特に古い家の場合、開けてみないとわからない不具合が見つかることが珍しくありません。
予想よりも住みにくい家になってしまった
リノベーション後に「導線が不便」「部屋が暗い」などの不満が出てくる例が挙げられます。デザイン優先でプランを決めた結果、住んでみると生活動線や採光のバランスが合わなかったということがあります。
引っ越し後に近隣トラブルが生じた
購入物件の周辺環境を調べていなかった場合、騒音や住民同士のトラブルに巻き込まれる可能性があります。店舗や工場が近くにある、あるいは地域コミュニティが独特な地域性を持つなど、住み始めてからわかることがあるようです。
工事を開始してから追加工事が必要になった
解体や施工を始めて初めて分かった老朽化やシロアリ被害などにより、追加工事が不可欠となり費用と工期が増えるパターンです。これが重なると入居計画が大幅に狂い、多額の費用負担にもつながります。
仕上がりがイメージしていたものと違った
間取りや内装デザインで「こんな感じになると思っていたのに、全然イメージと違う」という不満が後から出てきます。3Dパースなどを活用しないまま、口頭や図面だけで合意した結果、認識のずれが生じるのが典型的な原因です。
中古戸建てをリノベーションするのにかかる費用
中古戸建てのリノベーションでは、まず物件購入費があり、その上でリノベーション費用が発生します。さらに引越し代や雑費も合わせると、思わぬ出費がかさむ場合があるため、予算計画をしっかり立てることが重要です。
中古戸建の購入費用
立地や築年数、建物の状態によって大きく異なります。都心部と郊外では土地価格が変わるため、同じ築年数でも費用に差が出るのが一般的です。 あらかじめ「リノベーションも行う前提」で物件を選ぶ場合は、購入後のリノベーション費を考慮して価格交渉や物件選定を行うと良いでしょう。
中古戸建のリノベーション費用
リノベーション内容によって幅が大きいですが、一般的な目安としては500万~2,000万 円程度といわれます。間取り変更や水回り設備の交換、耐震補強などの有無で変動します。特に古い家ほど想定外の補修が必要になることがあるため、余裕を持った予算設定が必要です。
設計費用
建築士や設計事務所に依頼する場合は、全体費用の10~15%ほどが設計費用に充てられることが多いです。デザインや構造の専門家が入る分、完成度が上がるものの費用も増します。
施工費用
材料費や人件費、下地補修などが含まれます。間取り変更や配管移設は施工費が高くなる要因であり、フローリングや壁紙のグレード、キッチン・浴室設備の種類でさらに差がつきます。
諸費用
工事の仮設設備(足場や仮設トイレなど)や廃棄物処分費、工事保険など、見落としがちな諸費用も合算すると意外に大きな額になります。見積もりの内訳を細かくチェックしておくことが重要です。
引越代、印紙代などの雑費
物件の購入に伴う印紙代や契約書類の発行費用、引越しのトラック手配費など、雑多な費用も発生します。家族の人数や荷物の量によって引越し代が変わるため、把握しておかないと予算計画が狂う要因となります。
中古戸建てリノベーションで後悔しないためのポイント

リノベーション後の後悔を最小限にするためには、事前にいくつかのポイントを押さえておく必要があります。 以下の7つのコツを参考に、計画段階からしっかり準備を進めるのがおすすめです。
ポイント①中古物件の状態を専門家に評価してもらう
基礎や構造、配管、シロアリ被害の有無など、素人には見えない部分があるため、専門家の調査を依頼すると安全です。建物診断(ホームインスペクション)を受け、必要な補修や耐震性能を把握してから購入を決断すれば、後悔を回避しやすいです。
ポイント②建築された年月日を確認する
建築確認がいつ行われたかで、耐震基準や建築基準法の改正時期に応じた仕様かどうかが変わります。特に1981年以前の建物は旧耐震基準の物件となるので、耐震補強が必要かどうかを検討すると安心です。
ポイント③戸建ての工法をチェックする
木造在来工法、ツーバイフォー、RC(鉄筋コンクリート)など工法によって間取り変更の自由度や耐震性に違いがあります。リノベーションで大きく部屋数や配置を変える場合、工法が制約となる場合があるので注意が必要です。
ポイント④入居日が決まってから退去する
リノベーション工事は想定外のトラブルで工期が延びる可能性が稀にあります 。先に今の住居を退去すると、工事遅延中の仮住まい費や二重家賃が発生しかねないため、入居日が確定するまで退去時期を調整するとリスクを抑えられます。
ポイント⑤改修費用も予算に含めておく
中古戸建ての購入予算だけでなく、リノベーション費用や諸費用を含めた全体予算を組み立てることが重要です。開けてみないとわからない追加工事のために、余裕を持った資金計画を立てると安心です。
ポイント⑥時間帯や曜日を変えて何度か訪問する
物件の周辺環境は時間帯や曜日で大きく変わります。昼間は静かでも夜になると騒音があるとか、週末は近所のイベントや交通量が多いなど、何度か足を運んで実情を確認しておくことで、近隣トラブルのリスクを減らすことができます。
ポイント⑦ライフスタイルに合わせた間取りを検討する
デザインや外観にこだわりすぎると、住み始めてから動線や収納不足に悩むことがあります。家族構成や将来的な暮らし方を考慮し、必要な部屋数や位置関係をしっかり検討して間取りを決めることが肝心です。
後悔しないようあらかじめリスクを把握しておこう
中古戸建てのリノベーションは、新築購入よりもコストを抑えつつ、思い通りの住まいを手に入れられる魅力的な選択肢です。 しかし、構造上の制約や老朽化による予想外の補修、スケジュールや予算オーバーなど、後悔の声が絶えないのも事実です。 工事に踏み出す前に物件の状態を専門家に調査してもらい、耐震基準や設備面のリスクをしっかり把握しておくことで、失敗を回避しやすくなります。 また、工事費用や引っ越しなどの諸費用、追加工事の可能性も視野に入れた予算計画を組むことが大切です。 住み始めてから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、構造やデザイン、動線などを十分に検討し、信頼できる施工会社と密にコミュニケーションをとりながら進めることがポイントです。